*想像と習慣
- 館主
- 2024年10月31日
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更新日:2月28日
記者:橋本光弘

想像と習慣について
■動物と人間の違い
備える寓話として「アリとキリギリス」があげられます。コツコツ働くことや冬に備えなさいという話だと考える人が一定数います。
この話は、起きていない環境変化を想像できるか、起きていないことを他者からアドバイスされたときに取り入れられるか、想像したことに対して行動できるか、想像力の話なのだと思います。
昆虫・動物が淘汰圧力からなる死というコストを用いて選択的淘汰によって答えを導くのに対して、人間は実際に死というコストを用いらない思考を繰り返すことで、何度もやり直せる(訂正)能力を手に入れました。
■思考は習慣に、習慣は集団になる
やり直せる能力を手に入れた人間はどんどんと経験情報を次世代に伝えて死なない習慣を記録していきました。同じ習慣をする集団は自ず増え宗教や国家としてまとまりました。
【豚は不浄ゆえに食べてはいけない=食中毒】【牛は聖なる動物ゆえに食べてはいけない=労働力】【断食月=飢饉や戦争時の練習】【異教徒との聖戦=戦闘の義務】
これら死なない習慣は神格化され、集団はその習慣を変える個体が現れそうになると集団に個体が合わせるか出ていくかが求めるようになっていきました。出ていった個体は新しい習慣ごとに派閥がつくられ、残ったものは失敗しない暗記得意な個体が支配の上位に据えられるようになりました。もはや植物のように同じことを繰り返す組織が形成されました。
■すべては生き残るために
集団はすごく効率がよく心強い仕組みですが大きくなればなるほど、前世代の遺伝や環境に依存し時間と共に硬直することが繰り返されてきました。気づくと新しい習慣を見つけた集団に負け衰退していく運命にありました。
それらを5000年間何万回も経験したユダヤ民族は弱体化させられない支配できない習慣を発明しました。
「口伝議論集(タルムド)」。
1つの命題を各時代のいろいろな立場の人々の思った言葉で残し、この問題、あなたの時代ではどうすればよいか?と投げかける答えが変化し続ける過去問であり、集団は答えを出さないが個人が答えを出しながら集団に残す。時代を超えた掲示板でした。
口伝議論集(タルムド)はいまだに良い問いや応えを更新し続けまだ変化し続けています。
今見ぬ子孫を想像し、子孫の生存のために。そして、子孫の生存は集団のために。
圧倒的な生き残ることへの執着と続けることに執念を燃やす考え方は、動物的な種の保存と人間的な知恵の保存について考えさせられます。